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 匠を訪ねる〜床山、藤本文明〜も今日がいよいよ最終回。これまでの10年とこれからの将来、歌舞伎の世界に入って藤本氏は何を感じてきたのだろう。そして何を残していくのだろう。”縁の下の力持ち”床山の仕事に対する思い、今後の目標を伺ってみる。

 

今はとにかく上手くなりたい。

―床山という職業のやりがいはどんな所にありますか?
「簡単に出来ないから、それが面白いというのはあります。作って、良いと思っていても実際に役者さんにかぶせて舞台で見ると、ちょっと違って見えたりしますから。 舞台で見ても出来が良いものを作れた時にやりがいを感じますね。」

―お芝居は毎回舞台の袖で見てるんですか?
「全部は見てません、でも最初のうちは心配で見てましたよ。見て、もう少し出したほうがいいな、詰めた方がいいなとか反省したりしていました。」

―有名な役者さんに付いてやってみたいっていうのはありますか?
「ないって言ったらウソになるけど今はそこまで考えてないですね。役者との巡り合わせは運ですから。」

―1番難しいことは何ですか?
「役に合った感じに結うことが難しいです。この役柄は性根が悪いから、もっと強く結おうとか。話を知らなかったら調べています。でも10年居ると歌舞伎の話もだいたい分かってくるようになってきますよ。」
役者さんからこうしてくれっていうリクエストもありますけど、役者さんに言われなくても自分が納得しなかったら直すことも多いですね。役に合った髪形で、その中に自分の個性みたいなものも出していけたらいいなと思います。

―これまでを振り返ってみて、ご自身ではこのお仕事を続けてきたことについてどう思いますか?
「10年目を迎えて、今思えば続けてきて良かったと思ってる。最近やっと思えるようになってきました。最初はそうじゃなかったかもしれませんね。3年経って、6年経ってから、漸く。他の仕事してたら今みたいな規則的な生活は送れなかったと思います。仕事での移動が多いことへのストレスも、あまり感じていないことも大きいですね。」

―仕事を通しての目標があれば聞かせてください。
「漠然過ぎるけど、今はとにかく上手くなりたいです!2006年の9月の中国公演から、初めて一人の役者さんに付くようになって、モチベーションも上がりましたし。普通、初めて一人の役者さんに付く時、最初の仕事が海外でっていうのは珍しいんだけど、これまでとはちょっと違った感覚で、なんだか嬉しいです。これからも海外とか日本とか場所にこだわらず、芝居の役者に合った髪を作れるように頑張ります。」

道具は全部で10〜15種類。
道具は京都や名古屋の専門店から購入していて、高い柘クシは一本2万円くらいするのだとか。
これらの道具たちと職人技からすばらしい作品の数々が生みだされる。

常に感覚を研ぎ澄まし、ひとつひとつのカツラを忠実に結い上げる姿勢が伝わってきた。”熟練”や”ベテラン”と言われる領域はいったいいどこにあるのか?その領域を目指して10年目を迎える藤本氏の挑戦はこれからも続いていく。

藤本さんありがとうございました。
次回の「匠を訪ねる」を乞うご期待!

藤本文明
床山
1979年8月13日生まれ

 


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