昔のままのやり方だけで満足しない。
―お父様に弟子入りしていた時とは反対に、今は、師匠という存在ですよね。加藤さんの後を継がれる方はいらっしゃるんですか?
「息子が一緒にやってますよ。継がせたいという気持ちは、半分はありました。あとは本人が好きかどうかでしたね。」
―教えていく立場で何か感じることはありますか?
「私が教えるというより、弟子が見て覚えようとしますね、あとは聞かれたら教える。そこはそうやっちゃ駄目だよって言ったって、向こうは向こうなりのやり方があるから。新しいやり方でも綺麗に上がってたらそれはいいわけですから。逆に我々が持ち続けて来た技術よりも早くて綺麗に仕上がることもあるわけですよ。こっちが技術を教えてもらうことだってありますよ。」
―研究熱心な加藤さんですが革屋さんなどへは実際行って研究してるんですか?
「行ったり、メッキ屋さんなんてもう現場の中まで入って行きます。今は技術が進歩して昔と違った方法で作ってますから、面倒くさいものを持っていくと、これはちょっと出来ませんって言われることもある。そういう時は昔はこういう風に作ってたんだけどって言って相談しながら作ってもらってます。だから色々と首を突っ込んでますね。素材が多すぎるんですよ。甲冑自体が。鉄があって革や紐があって、それらがまとまって一つの物ができてますから、それぞれの扱い方は知ってなくちゃいけない。」
―こういった知識は長年やられてこられて身についたモノだと思いますが、最初はどのように勉強したのですか?多くの職人さんは「見て覚えて来た」という方が多かったのですが・・・
「”知識”は見て覚える物じゃ無いでしょう、技術は見て覚えますけど。勉強するといっても、父親もこの仕事をしてましたし。でも聞いても、書物などに書いてあってもその通りやってみるがうまく出来ない。だからそういうのを体で覚える。見たり聞いたりした情報を自分の中で処理して、自分でやって行かないと身に付かないんですよ。」